子豚の紆余曲折 薬学生日記

都内在住、現役薬学生の見聞録

【書評】「さらば、GG資本主義」 高齢者社会であなたはどう生き抜いていく?

GG資本主義とは

GG資本主義というのはGG(高齢化社会)と未来を担うGG(若者世代)が手を携える資本主義社会のことである。

 

日本の高齢化問題の一番の問題点として「みんなの成長を邪魔している」という点が挙げられている。

上の世代がいつまで経っても重要ポストに居座り、企業をはじめとする場所で新陳代謝が起こりにくくなっている。

よって若い人たちが力を発揮する場所が増えずに社会に新しい価値観が根付かない。

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高度経済成長期を若い団塊世代が引っ張ったように、バブル崩壊以降の新しい時代を次の世代が、そして現代はその次の世代が担っていくはずなのに経済の主体が入れ替わらなかった。

 

なので巷ではよく「激動の昭和、空白の平成」と言われている。

 

働くことが嫌いになっている理由

コンビニに行って商品を買った時にお店の人に「ありがとう」などと挨拶をしていますか?

 

海外に行くと必ずと行ってもいいほどお客さんは店員さんに「サンキュー」などと気軽に感謝を伝えている。

しかし日本を見てみると当たり前かのような態度で無表情で何も言わず商品を受け取って去っていく。

 

自分が実際に働いていてお客さんに「ありがとう」と笑顔で言われたら誰でも少し働く意欲が湧いてくる。

僕もアルバイトでお客さんからレジでお礼を言ってもらうのと言わずに素っ気なくされるのでは完全に前者の方が仕事のモチベーションも上がる。

 

こうした態度が蔓延している社会では働くことがつまらなくなっている。と筆者は強く警告をしている。

 

働くことが嫌いになる人が増えれば社会全体も成長せず日本は衰退していってしまう。

 

日本を救う3つの虎

本書ではこうした日本を救う3つの虎について説明をしている。

 

3つの虎とは

である。

 

ベンチャーの虎」とは東京などの都市部で起業をし、活躍をする虎の事で

最近、若者を中心に使っている人の多い「メルカリ」の創業者である山田進太郎さんなどがベンチャーの虎の主な例である。

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メルカリ社長 山田進太郎さん

 

「ヤンキーの虎」とは地方を引っ張るリーダーの事でありここでいう「ヤンキー」とはバリバリの不良のことではなく過去に流行語にもなった、地方に住む若者である「マイルドヤンキー」のヤンキーである。

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マイルドヤンキー

 

東京への一極集中が今進んでいるとはいえ、日本の人口の約90%が他の地域に住んでいると言われている。

 

ビジネスチャンスが溢れている東京と違って地方では人口減少・高齢化が進んで放っておけば衰退の一途を辿ってしまう。

 

そんな中で地元で生きるマイルドヤンキーたちの雇用の受け皿としてビジネスを拡大する経営者、「ヤンキーの虎」が非常に重要である。

 

「ヤンキーの虎」については本書の著者である藤野英人さんが別本で出している。

ヤンキーの虎

ヤンキーの虎

  • 作者:藤野 英人
  • 発売日: 2016/04/15
  • メディア: 単行本
 

 

「社員の虎」とは会社員でありながら、組織の意向を慮るよりも自分の意思・良心に従い、会社のリソースを使って顧客のために働く社員である。

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ベンチャーの虎のような起業家になるのは「これをやりたい」という強い思いとリスクを取る資質が重要で誰にでもなれるものではない。

ヤンキーの虎ももともと親が商売をやっていたとか地元にも強いネットワークがあるとかいくつもの条件がある。

 

しかし社員の虎(トラリーマン)は会社員でいながら誰もが目指せる存在である。

 

GG(高齢社会)とGG(ゴールドジェネレーション)

高齢化社会と未来を担うゴールドジェネレーションの二つのGGが手を携えてそしてその間の世代が協力して集まった時にそこには明るい未来しかないのである。

 

分断を超えたその先に、お互いへの理解、共感、尊敬によって繋がる素晴らしい社会がこれからの日本には待っている。

 

感想

この本を読む前までは高齢化社会について全く考えたことがなかったがこの本を読んで「高齢化社会やべえ」ってなってもっと深刻に考えなければいけないなと気付かされたと同時に日本の未来はまだまだ明るいと実感させられた。

 

本書は上記の内容以外にも具体的な「社員の虎」になるためにはといったことなど様々なことが書かれていて大学生を中心に今の若者に絶対に読んで欲しい。